赤坂 伸子 さん
Q1 移住前のことを教えてください
私は神奈川県、夫は熊本県の出身で、東京で仕事をしていました。
東京に通える一番田舎に住もうということで、栃木県那須塩原市で私は観光関係の仕事を、夫はグラフィックやイラストレーターの仕事をしながら25年間暮らしていました。
Q2 移住のきっかけを教えてください
2018年に、夫の「長崎っておもしろそう」という何気ない一言で長崎に旅行をすることを決めて、8日間滞在しました。
実は30年ほど前にも一度旅行できているのですが、その時の記憶はなくて。
でも2018年に訪れた時は斜面地の風景に圧倒され、長崎に魅了されてしまいました。
滞在中はまちの中歩いて回ったんですが、歩くたびに色々な発見があり、ずっと「楽しい!」「おもしろい!」と感じていました。
その時はまだ、移住するつもりはなかったんですけど、次に来るときのために観光のパンフレットをもらおうと訪れた県庁で、移住の相談員さんとお話する機会があったんです。
話していると楽しくて気づいたら1時間ぐらいしゃべっていました。
栃木に戻った後も時折メールをくれたり、冊子を送ってくれたりしたこともあり、その後も何度か長崎を訪れるようになりました。
長崎は人も気候もあたたかくて、2015年に大病を患った夫の体に負担がかからない場所だったこともあって、「移住してもいいかもな」と少しずつ気持ちが向いていきました。
Q3 実際に長崎で暮らしてみてどうですか?
「困った」と感じたことは1度もないんです。
以前住んでいたところは車が無いと生活できませんでしたが、長崎はまちがコンパクトですし、バスや路面電車などの公共交通機関がしっかりしているので、夫と病院へ行くにも買い物にも不便を感じませんね。
私は歴史が好きなんですが、長崎のまちの中には歴史的なものがたくさんあるので、それを見て回るためによく歩くようになりました。
歩いたり、お店のDIYをしたりする中で、私も夫も体力がついて、以前よりも健康になったなと感じています。
Q4 移住にあたって空き家を購入されたんですよね?
私たちが移住するには家選びが重要だったので、「バスの便がいいこと」「買い物が不便でないこと」「斜面地で階段はそこそこある」という条件で探しました。
長崎市が運営している空き家バンクにも登録して、長崎に来るたびに移住相談員の方から色々な物件を紹介してもらって、全部で20件ぐらいは物件を見て回りました。
今住んでいる家は築60年ぐらいで、長崎市の空き家バンクに登録されていました。私たちが住むまでは15年ぐらい空き家だったのであちこち傷んでいました。
でも、この家を初めて見た時に、私が小さい頃に祖母と一緒に暮らしていた家を思い出して、懐かしい感じがしたのと、家の中を見てカフェを開くイメージができたこともあって、この家に決めたんです。
大家さんもすごくいい人で、この家に対する思い出をお聞きしたところ、いい思い出がいっぱい詰まっていて、そんな家に住めるのが幸せだなぁと感じています。
空き家になっていたうち、居住スペースについては大工さんに改修してもらいましたが、カフェスペースは自分たちや長崎で知り合いになった方に手伝ってもらってDIYしました。
楽しかったですが、とっても大変だったので、もうやりたくないですね(笑)
Q5 「燈家」という名前と看板が素敵ですね
長崎の夜景はすごくきれいですが、それは斜面地にある家の暮らしの明かりがあるからで、自分たちもその明かりの一つになることをイメージして屋号を決めました。
名前に使っている青色なんですが、私たちの中で長崎は青のイメージが強いんです。
海や空はもちろん、稲佐山で有名な夜景も青色を想像させます。
そんな長崎の日常の中に、家にいるような安心感や懐かしさを感じてもらえるようなお店にしたいという想いがあって、「青の中にあかりを灯す」という意味を込めてこのデザインを夫と一緒に制作しました。
Q6 移住を考えている方にアドバイスをお願いします
ぜひ斜面地に住んでみてほしいですね。
近所の人たちとあいさつを交わしたり、洗濯物を干しているときに雨が降ってきたら教えてくれたり、人と人との距離に温かみを感じることができると思います。
私たちの場合は県や市の移住相談員の方と話をすることで、ここに住むイメージを浮かべることができました。
興味がある方や迷っている方は移住相談員の方に相談してみて、自身に合った暮らしを見つけてみてはいかがでしょうか。
Q7 長崎のおススメスポットを教えてください
稲佐悟真寺国際墓地です。
中国やオランダ、ロシアの方のお墓があるんですが、1本の坂道に伸びるレンガの塀や石畳の通路、昔はガス灯だったのかなと感じる街灯があり、すごく趣きがあって、異国情緒を感じることができます。
季節ごとに景色や雰囲気ががらりと変わるので何度行っても飽きません。
坂の一番上から見る長崎のまちなみがとても綺麗で、階段に座ってついつい長居してしまいます。